唐津ぐい呑み-日本酒を知る 日本酒の造り方

日本酒の造り方

米と水という日本では当たり前の組み合わせから日本酒ができる不思議 日本人の技術と努力の結晶と思いますね。

日本酒(清酒)は酒税法という法律で製法を定められています。
酒税法では「米、米麹と水とを原料として発酵させて、こしたもの」と定義されています。では、米と水からどうやって日本酒が造られるのでしょうか。

参考 夏子の酒

日本酒の種類 片口とぐい呑み

日本酒ができるまで

工程について

①精米
米の表面を削ってたんぱく質や脂肪を落とす。食用米の精米歩合が約90%なのに対し70~50%まで削ります。

②洗米
精米した米の表面の糠を水で十分洗い落とします。

③浸漬
白米に吸水させることにより糖化されやすくなります。
時間は精米歩合や米の種類によって異なるそうです。

④蒸米
白米を水切りし、こしきで蒸して糖化しやすくします。
蒸米は麹用と仕込み用に分けられます。

⑤酒母
蒸米、酵母、麹、水をまぜ、もろみを発酵させるのに必要な酵母をつくります。
「もと」とも呼ばれます。

⑥麹
カビの一種である麹菌を蒸米にふりまき、麹米をつくります。
微妙な温湿度管理が要求される作業です。

⑦仕込み
酒母に蒸米、麹、水を加え、タンクの中で発酵させるともろみとなります。
これを3回行うこといわゆる三段仕込みというそうです。

⑧しぼり
もろみを酒袋に入れて搾ります。
ここで酒粕と液体、すなわち酒に分けられます。上槽ともいいます。

⑨ろ過
しぼった新酒を沈殿させ、澱引きした後、不要な残存物を除くためろ過を行います。

⑩火入れ
酵母や微生物による変質を防ぐため60度くらいの低温殺菌を行います。
火入れする前に蔵出しされるのが生酒ですね。

⑪貯蔵
熟成 火入れされた生酒をタンクで熟成させる。熟成期は数ヶ月であるが、1年以上熟成された古酒もあるそうです。


いくつもの工程を歴て日本酒ができます

原料米

酒造米は通常の飯米と違い、米粒が大きく、真中に心白と呼ばれる白色不透明の部分があります。
心白はデンプン粒が粗く詰まっていて軟らかく、このような心白があると吸水しやすく、麹を造る時には麹菌の破精込み(はぜこみ)が良くなり、品質の良い麹が出来ます。
また、一般の飯米の千粒重(千粒の重さ)が約20 グラム程度であるのに対して、酒米、特に山田錦は28グラム程度あります。
粒が大きいと言うことはそれだけ稲穂が垂れ下がってしまうため、風害に弱く、そのため台風が直撃しやすい地域では栽培が大変困難となっています。
主な酒米の種類は、山田錦、五百万石、美山錦、八反錦、雄町、日本晴、たかね錦、トヨニシキなどがあります。


精米

玄米の外側には、タンパク質、脂肪、無機質などが多く含まれています。これらが多いとお酒の味や香り、色に悪影響を与えてしまうそうです。
そこで酒造りでは、玄米の外側を25~50%削り取って精米(せいまい)して白米にします。
酒造りの世界では精米することを「米を磨く」といいます。
精米は、精米機の金剛ロールの回転数、抵抗等を調節して胚芽や溝が残らないように、しかも玄米と同じ原形に近い形に仕上がるように6時間以上もかけて注意深く行ないます。
大吟醸酒や吟醸酒というお酒に用いる白米は、50%以上精米されているため、精米作業も2昼夜以上かかる場合があるそうです。


洗米

洗米の目的は白米の表面に付着している糠と白米に混ざっている雑分を取り除くことです。洗えば洗うほど糠が取れ、きれいな酒質を得やすくなります。
洗米を終えた米は浸漬タンクに送られ浸漬されます。これは白米に適度な水分を吸収させて、麹菌が表面だけでなく、心白に向かって中に食い込み易い様、外硬内軟の良い蒸米に仕上げるためです。浸漬時間は吟醸米の数分間といった短いものから、一昼夜という長いものまであって一様ではありませんが、良い蒸米に仕上げるための吸水率というものが各蔵元で決めてあるそうです。


蒸米

蒸しの目的は生米を蒸すことによって生デンプン(β-デンプン)を麹の酵素の作用を受けやすい形のα-デンプンに変化させること、及び米を殺菌し、後の工程を安全にすることです。
蒸米(むしまい)の良否は後の工程や、酒質に大きな影響を与えるため、粘り気のない蒸米に仕上げることが大切だそうです。これを酒造りでは「サバケの良い米」と呼んでいます。
蒸し上げられた米は、麹用、酒母用、そしてモロミに使う「掛米」(かけまい)用と、それぞれの目的に応じた温度まで冷まします。これを放冷(ほうれい)と呼んでいます。


酒母

酒造りにおいて、発酵を行ってアルコールを生産するために活躍する菌が「酵母菌」です。
このために大量の純粋な酵母が必要です。その目的のために酒母(しゅぼ)が造られます。


麹はまず、約30℃に冷却された蒸米に「もやし」と呼ばれる麹菌の胞子を均一に振りかけ、温度や湿度を最適に調整した麹室(こうじむろ)に入れます
麹菌が繁殖しだすと、熱を出し次第に麹の周囲の温度が上がって行きます。
このままにしておくと、熱くなりすぎて麹の繁殖が止まってしまうので、「切返し」(きりかえし)という操作を行い、麹菌の繁殖した蒸米を手でほぐし、温度コントロールを行ないます。
清酒製造の基本は糖化と発酵という2つの理化学的、微生物学的反応によって成り立っています。
この2つの反応が平行して行われているところが他の酒類との大きな違いとなっています。
この2つのうち糖化の役割を果たすのが麹です。
麹は蒸米に麹菌を繁殖させて、米中のデンプンを分解してブドウ糖に変えるアミラーゼ、タンパク質を分解してアミノ酸にするプロテアーゼ、脂肪をグリセリンと脂肪酸に分解するリパーゼ等を分泌して、酵母がアルコール発酵を行ったり、香りを生成するための材料造りの役割を果たしているそうです。


仕込み

麹の持つ様々な酵素と、酒母で育てられた清酒酵母が活躍するのが、酒造りの中心になる醪(もろみ)の工程です。
この工程を「仕込み」といいます。
醪の中では、麹の酵素が醗酵して、蒸米のデンプンがブドウ糖に分解し、アミノ酸、ペプチド、有機酸などが生産されます。
そして酵母は醗酵しながらブドウ糖からアルコールを生産しながら香り成分を造り出していきます。
酒の醪を造る作業は「仕込み」(しこみ)と呼ばれます。仕込みは通常は「三段仕込」といって、酒母に麹、蒸米、水を「添(そえ)」「仲(なか)」「留(とめ)」の3回に分けて仕込むそうです。


しぼり

仕込みが終わった後は、醪を10~15℃に保ち、表面の泡の状態を様々に変化させながら、20~40日間で醗酵を終了させます。
この時のアルコールは19%近くにもなって、発酵はほぼ終了です。
醗酵が終了した醪は、圧搾機に入れて液体部分(新酒)と固形部分(酒粕)に分離します。


ろ過

上槽直後の清酒をタンクに送り、10日ほど静置しておくと、次第に上澄みして濁り(オリ)が沈殿してきます。
このオリと上澄み清酒を分ける作業をオリ引きといい、濾過と同時に行います。
オリ引きによって清澄になった清酒には、まだ微細な粒子やタンパク質が含まれているため、これを取り除くため濾過機を通し、きれいに澄んだ清酒にします。


火入れ

火入れは清酒を加熱することにより、生酒の殺菌を行うと共に、残っているアミラーゼ、プロテアーゼ等の酵素の働きを停止させ、品質を安定させる目的で行われます。


貯蔵

火入れした酒はタンクに貯蔵され、熟成を待ってビン詰出荷されます。
貯蔵中の様々な条件により、酒質が変化するそうです。
吟醸、生酒等生産量の少ない酒は、ビン詰した後冷蔵庫にて氷温貯蔵され、必要に応じて出荷されるそうです。


日本酒の原料(水・米・酵母)について

水について

お酒の成分の約80%は見た目のとおり水です。
水は、仕込水などの原料用水だけでなく、洗米、浸漬、洗瓶など、様々な用水として、仕込水の約20~30倍もの水が使われるそうです。
酒造原料としての良い水の条件は、「濁りや汚れがない事」や「飲んでおいしい事」は当然ですが、お酒に色をつけ、味を悪くしてしまう鉄分など、「酒造りにとっての有害成分を含まない」「ミネラル分を豊富に含んでいる」というが大切な要件となっています。

有用な成分として、カルシウム、カリウム、リン、クロール等の成分が豊富で、これらのミネラル分は酵母菌をはじめ様々な微生物の栄養となります。
酒造りに有害な成分は、鉄分です。
水に鉄分が多く含まれていると、お酒を黄色から褐色へと着色させ、次第に雑味を感じさせるようになってしまうそうです。

水には硬水と軟水がありますが、日本酒はこのどちらからも造られています。
カルシウムやマグネシウムなどの塩類を多く含んでいるものが硬水で、軟水はそれらを含みません。一般的に硬水は飲料や洗濯には向かないとされていますが、硬水から造られた酒でも非常に美味しいものが多々あります。
素人レベルでは、はっきり言って旨い酒でもどの要素(米・水などの)が優れているのかなどはまずわかりません。
昔から、兵庫・灘の「宮水」や京都・伏見の水などは酒造りに最適と言われています。


米について

酒造りには「飯米」と呼ばれている一般的な食用米のほかに、酒造りだけに使う「酒米(さかまい)」と呼ばれている酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)が用いられています。
酒造好適米とは、次のような特徴を持っています。

  • 粒が食用米に比べて大粒
  • 米が、やわらかい
  • 吸水性がよい
  • タンパク質が少ない

酒造好適米は一般には「酒米」と呼ばれ、米粒の中央に不透明な心白(しんぱく)という部分を持つ大粒の米で、ご飯として食べている一般米より一回り大きく、酒造りに適した性質を持っています。
こうした酒造好適米は、寒暖の差が大きい山間部が生息には適し、また稲の背が高いので倒れ易く、大量に生産するのは難しく、当然のことながら、値段も高く、普通のお米よりも、約20%高いといわれています。


酒造好適米の種類

  • 「山田錦」
  • 「五百万石」
  • 「雄町」
  • 「たかね錦」
  • 「フクノハナ」
  • 「八反」
  • 「玉栄」
  • 「幸玉」
  • 「金紋錦」
  • 「西海134号」
  • 「九頭龍」

などが有名です。


酵母について

酵母は数ミクロン程度の大きさの微生物で、これが酒の発酵に大きく関わってきます。
同じ酒造米と水を使用しても酵母が変わると味に大きな変化が出てきます。
明治時代に大蔵省により「きょうかい1号」酵母が酒蔵に頒布されたのを皮切りに、現在ではたくさんの酵母が使用されています。
最近は吟醸酒のような香りがよい特徴を持つものが好まれいるそうです。